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川崎 浩平; 品田 健太; 岡本 成利; 影山 十三男; 江田 考志; 岡崎 日路; 鈴木 弘道; 山本 和也; 小田部 隼
JAEA-Technology 2020-025, 80 Pages, 2021/03
プルトニウム燃料第三開発室は、高速実験炉「常陽」及び高速増殖原型炉「もんじゅ」のMOX燃料製造を目的に昭和63年に運転を開始した施設であり、非密封の核燃料物質を大量に取り扱う大型のグローブボックスが設置された。これらのグローブボックス窓板には「使用施設等の位置、構造及び設備の基準に関する規則」の施行(平成25年12月)以降に設置するものを除き、アクリル(可燃性)が用いられている。グローブボックス内の火災に対しては、建設当初からハロゲン化物消火設備による自動消火システムを導入しているが、グローブボックスの外側からの火災に対して、アクリルの直接的な対策が課題であった。そのため、可能な限りグローブボックスの外側からの火災に対するグローブボックス窓板への影響を軽減する火災対策シートを開発、最終的には難燃性のシートを実装した。開発の着眼点は、不燃又は難燃シートに粘着材を塗布した複合材で不燃又は難燃性を有していること。また、使用環境(核燃料物質からのガンマ線、蛍光灯からの紫外線)で劣化が著しくないこと、グローブ作業での作業員の視認性を確保できる透明なシートであること等とした。これらの火災対策シートを貼り付けたアクリル板の火災損傷防止試験及び火災対策シートを用いた使用環境影響試験を行い、良好な結果を得た。一方、火災対策シートの貼り付け作業等における外部被ばくを低減する観点から、プルトニウム燃料技術開発センター内にワーキンググループを立ち上げ、施工試験等で効率的な施工を実現する方法を検討・試行し、作業の標準化を図り、基本手順書にまとめた。本報告書は、グローブボックス窓板用火災対策シートに係る火災損傷防止試験及び使用環境影響試験と、施工性試験等を通じて得られた知見を取りまとめたものである。
舛井 健司; 山本 昌彦; 久野 剛彦; 駿河谷 直樹
日本保全学会第13回学術講演会要旨集, p.25 - 30, 2016/07
東海再処理施設に設置されたグローブボックスについて、視認性が低下していた透明パネルを更新した。パネルの材質には、新規制基準への適合を考慮し、難燃性材料であるポリカーボネートを採用した。また、放射性物質の拡散を防止するため、グリーンハウスを設置して作業を行った。更新後、パネルの材質、据付・外観、グローブボックスの負圧、漏えい検査を実施し、閉じ込め機能が更新前と同様に維持できることを検証した。
稲田 栄一; 小圷 正之; 須藤 光男*; 吉田 充宏; 箕内 洋之; 岡本 哲也*; 酒井 光雄
PNC TN8450 91-006, 77 Pages, 1991/03
東海事業所再処理工場等から発生した低放射性固体廃棄物のうち、難燃物、不燃物、及び一部の可燃物はドラム缶やコンテナに収納され、第一低放射性固体廃棄物貯蔵場、並びに第二低放射性固体廃棄物貯蔵場に貯蔵、保管される。これらの廃棄物を減容安定化処理することを目的とした低レベル廃棄物処理開発施設(以下LWTFという)の設計を実施しており、施設設計を進める上で処理対象廃棄物を明確にする必要が有るため本調査を実施した。調査対象は、再処理工場の運転状況を踏まえた代表的な3ケースとし、昭和62年、63年、及び平成2年度について調査することとした。本調査書は、先の昭和62年度調査と同様に昭和63年度に発生した廃棄物を対象に、ドラム缶及びコンテナに収納された低放射性固体廃棄物の種類、数量、性状等について調査を行ったものである。調査対象廃棄物は、昭和63年度にドラム缶、またはコンテナに封入された低放射性固体廃棄物とし、その種類、数量等を明らかにした。調査結果は、以下の通りであった。1,全体廃棄物の割合は、可燃物が約4%、難燃物Iが約10%、難燃物IIが約7%、不燃物が約79%であった。2,ドラム缶の最大重量は、普通ドラム缶で505kg/本(不燃物)、マルチドラム缶で
稲田 栄一; 小圷 正之; 須藤 光男*; 吉田 充宏; 箕内 洋之; 岡本 哲也*; 酒井 光雄
PNC TN8450 91-005, 103 Pages, 1991/02
東海事業所再処理工場等から発生した低放射性固体廃棄物のうち、難燃物、不燃物、及び一部の可燃物はドラム缶やコンテナに収納され、第一低放射性固体廃棄物貯蔵場、並びに第二低放射性固体廃棄物貯蔵場に貯蔵、保管される。これらの廃棄物を減容安定化処理することを目的とした低レベル廃棄物処理開発施設(以下LWTFという)の設計を実施しており、施設設計を進める上で処理対象廃棄物を明確にする必要が有るため本調査を実施した。調査対象は、再処理工場の運転状況を踏まえた代表的な3ケースとし、昭和62年、63年、及び平成2年度について調査することとした。本調査書は、先ず昭和62年度に発生した廃棄物を対象に、ドラム缶及びコンテナに収納された低放射性固体廃棄物の種類、数量、性状等について調査を行ったものである。調査対象廃棄物は、昭和62年度にドラム缶、またはコンテナに封入された低放射性固体廃棄物とし、その種類、数量等を明らかにした。調査結果は、以下の通りであった。1,全体廃棄物の割合は、可燃物が約9%、難燃物Iが約14%、難燃物IIが約8%、不燃物が約69%であった。2,ドラム缶の最大重量は、普通ドラム缶で325kg/本(不燃物)、マルチドラム缶で272.5kg(不燃物)であった。
梶 加名子; 吉沢 巌*
ポリファイル, 26(9), p.25 - 27, 1989/00
原研と三和化工(株)との共同研究の成果である放射線グラフト重合によるポリエチレンフォームの難燃化技術を概説し、難燃性ポリエチレンフォームの安全性を紹介する。
八木 敏明; 日馬 康雄; 伊藤 政幸; 岡田 漱平; 田村 直幸; 川上 和市郎
EIM-85-161, p.83 - 92, 1985/00
各種ゴム材料をLOCA模擬環境に曝すと吸水膨潤あるいは重量減少挙動を起こし、これらが原因となって機械的性質、電気的性質が低下することがある。これまで吸水膨潤挙動については配合の明らかなゴム材料について研究を行い、酸化劣化反応が膨潤現象に密接に関連していることを明らかにした。 本報告は重量減少挙動を詳しく調べるため、種々の配合のシリコーンゴムについての照射条件ならびに薬液処理条件と劣化との関係を検討した。その結果、シリコーンゴムは照射により薬液中で劣化されやすくなり、劣化量は線量および暴露温度に依存する。空気中高線量率照射と酸素加圧下照射はゲル分率、膨潤比および薬液中での劣化挙動がほとんど同じであるが真空中照射試料とは大きく異なる。また空気中酸素加圧下および真空中照射試料の劣化にはシリカ、難燃剤等の影響が大きいことが明らかになった。
大島 裕之助; 萩原 幸; 小田 英輔*
日本原子力学会誌, 25(4), p.258 - 263, 1983/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Nuclear Science & Technology)原子力発電所等の原子力施設で用いる電線・ケーブルは、難燃性とともに高度の耐放射線性が必要とされる。「難燃性絶縁材料の開発」テーマでは、汎用の絶縁材料(エチレン・プロピレン共重合ゴム)に対してこのような性能を付与するための新しい難燃剤に関する研究開発を進めてきた。新規難燃剤としての臭素化アセナフチレン縮合物の開発の経緯、及び、これを用いて試作した難燃・耐放射線性ケーブルの性能試験結果を紹介した。
萩原 幸; 森田 洋右; 宇田川 昂; 小田 英輔*; 藤村 俊一*
JAERI-M 82-057, 71 Pages, 1982/08
軽水型原子力発電所用電線・ケーブルは高度の難燃性と熱および放射線に対する安定性、さらにLOCA時にも十分な性能を保持することが必要である。本研究はこのような要求を満足する難燃・耐放射線性絶縁材の開発を目的として行ったものである。特に、重合性の難燃剤に着目し、エチレン・プロピレン・ジェン共重合体ゴムへの適用を検討した。各種重合性難燃剤を合成し、その特性を検討して、難燃剤としては、(1)炭素-炭素結合からなり、(2)縮合型芳香環をもつこと、さらに(3)重合性である化合物を基本構造とすべきとの指針を設定した。つぎに、この指針を具体化するための考察と詳細な実験的検討により、臭素化アセナフチレン縮合物(con-BACN)の有効性とその根拠を明確にした。最後に、con-BACN配合の実寸法ケーブルを試作し、IEEE標準に従った各種性能試験を実施してその優れた性能を実証した。
萩原 幸; 森田 洋右; 小田 英輔*; 藤村 俊一*
FAPIG, 102, p.48 - 55, 1982/00
原研と古河電工(株)との共同研究「臭素化アセナフチレンおよびその縮合体を用いた難燃性ケーブルの開発」のまとめである。内容は(1)臭素化アセナフチレンおよびその縮合体の合成とその難燃、耐放射線性付与効果、(2)臭素化アセナフチレン縮合体による難燃エチレン-プロピレン-ジエンゴム絶縁ケーブルの試作とその特性、について記したものであり、先に発表されたJAERI-M 82-057「軽水炉型原子力発電所用電線、ケーブル絶縁材の難燃、耐放射線化に関する研究」の内容と同様である。
森田 洋右; 萩原 幸
J.Appl.Polym.Sci., 27, p.3329 - 3339, 1982/00
被引用回数:5 パーセンタイル:35.85(Polymer Science)難燃剤として臭素化アセナフチレン(BACN)及びその縮合体(con-BACN)を合成した。合成法はZnCl-CFCOOH又はFeClを触媒としてアセナフテンを臭素化し、その後脱臭化水素した。ZnCl-CFCOOHを触媒として用いた場合、主たる生成物は臭素化アセナフチレンであり、FeClを用いた場合の主成分は縮合体(3量体が主)であった。BACN及びcon-BACNによりエチレン-プロピレン-ジェン共重合体(EPDM)を難燃化し、酸素指数法、垂直燃焼試験法で評価した。これらは、市販の臭素系難燃剤(例えば、デカブロムジフェニルエーテル)を用いた場合よりも、高い難燃性を示した。この高い難燃化効果はBACN,con-BACNのEPDM中への均一分散性、EPDM中での重合性またはグラフト反応性、及びEPDMの熱分解する全領域にわたって難燃原子(Br)を放出する熱分解特性に起因すると結論された。
梶 加名子
JAERI-M 9481, 194 Pages, 1981/05
本研究は、放射線グラフト重合による合成繊維の改質に関するものである。放射線を手段として採用したのは、それが最も一般的にどんな繊維にも、またどんなラジカル重合性モノマーにも適用できると考えたからである。繊維としては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン繊維を主に取上げた。実際にグラフト重合を行なうにあたっては、まず繊維外のホモポリマーの生成を抑制して繊維内部で円滑にグラフト重合させる方法や、繊維表面のみでグラフ卜反応を起こさせる方法について研究した。このような手法でポリエステル繊維の親水化、難燃化、ポリ塩化ビニル繊維の親水化、耐熱性の向上、ポリエチレン繊維の耐熱性の向上、難燃化、親水化に関して具体的な改質方法の基礎的な実験を行ない、ほぼ期待通りの結果が得られた。
栗山 将
JAERI-M 9412, 40 Pages, 1981/03
原子力発電所等の原子力産業において、有機高分子材料は比較的多量に用いられている。とくに電気絶縁材料として高分子素材は、すぐれた絶縁性能に加えて、加工性、可換性、経済性に秀でていることから、安直に使用されるが、その使用限界線量等(放射線場における)を知っておくことは重要である。第1章では原子力産業に要求される高分子材料について、使用限界線量、製品として使用するための型式試験法の一般論を解説した。第2章では、型式試験の中で、注目されている難燃性試験について解説した。さらに、第3章ではThree mile island原子力発電所の事故およびそこから得られた教訓等の概要について述べ、第4章では、有機材料の難燃化処理にインパクトを与えたBrowns Fery原子力発電所の火災事故の概要を述べた。
笠井 昇; 森田 洋右; 萩原 幸
EIM-80-105, p.35 - 41, 1980/00
原子炉用電線・ケーブル絶縁体のための難燃剤の開発に関するものである。前回の電気学会では臭素化アセナフチレンモノマー(BACN)について報告した。しかし、BACNは長期間放置すると難燃剤が滲出する傾向が認められたので、今回はこれを改善するため2~5量体の臭素化アセナフチレン縮合体(con-BACN)を合成し、これによるEPDMの難燃、耐放射線化を行なった。さらに、より実用的な試験として電線形状での複合的な劣化要因による難燃性、絶縁抵抗の変化の測定を行った。この結果、con-BACNは優れた難燃効果を示し、耐放射線助剤としても有効であることがわかった。さらに、con-BACNは熱劣化+放射線後も難燃化効果に大きな変化はなく、原子炉の耐用年数の経年劣化に耐えることが示唆された。この難燃剤を添加した電線では熱劣化+放射線+LOCA液浸漬において絶縁抵抗の低下が認められたが、金属酸化物等を添加することにより抑制できることが判った。
森田 洋右; 萩原 幸; 荒木 邦夫
J.Appl.Polym.Sci., 25, p.2711 - 2719, 1980/00
被引用回数:8 パーセンタイル:47.96(Polymer Science)原子炉用電線ケーブルのための難燃性絶縁材料の開発を目的に、特に新しい試みとして重合性難燃剤によるエチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM,汎用絶縁材)の難燃化法について検討した。重合性難燃剤として、新たに臭素及び臭素,リンを含有するビニル重合型難燃剤を合成した。これらを、ベースポリマーであるEPDM,難燃助剤である三酸化アンチモン,ラジカル発生剤やその他の添加物と混合し加熱成型することによって、難燃剤をベースポリマー中で重合させた。その結果、(1)従来使用されている添加型難燃剤にくらべ、同一臭素含量において著しく高い難燃化効果を示す重合性難燃剤がえられた。(2)EPDM中に生成した難燃剤ポリマー量が多いほど(難燃剤の重合性が高いほど)高い難燃化効果を示した。(3)難燃剤が重合して生成したポリマーとEPDMの熱分解温度がほぼ等しい場合に、難燃化効果が顕著である。ことが判った。
萩原 幸; 曽原 正善*; 荒木 邦夫; 鍵谷 勤*
J.Appl.Polym.Sci., 25, p.1541 - 1547, 1980/00
被引用回数:4 パーセンタイル:31.77(Polymer Science)化学法により橋かけ処理したポリエチレン被覆層のうえに難燃化樹脂のジャケット層をもうけて電線全体を難燃化した。このジャケット層を線により橋かけ処理したところ、ゲル分率が大きくなるにしたがい難燃性も向上し、60%近傍で極大となった。しかし、ジャケット層に十分な耐熱性を与えるに必要なゲル分率70%以上の領域では、難燃性は著しく低いものとなった。一方、電子線により橋かけ処理した場合には、電子線の入射エネルギーにより難燃性に対する効果が変化した。これはエネルギーの違いによりDepth-Doseが異るため、ジャケット層内での橋かけ結合の分布が変化したためと推論された。このことを立証するため、ジャケット層を2層に分け、ポリエチレンに接した内層のゲル分率を外層のそれよりも大きくなるように橋かけ処理したところ、平均ゲル分率70%以上としても優れた難燃性が保持されることが確かめられた。なお、これと逆の構造の場合は、十分な難燃性は得られなかった。
梶 加名子; 大倉 啓*; 岡田 紀夫
繊維学会誌, 35(2), p.80 - 89, 1979/00
ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)布を難燃化する目的でV.d.G.加速器あるいは変圧器整流型の加速器よりの電子線を用いて、ビニルフォスフォネートオリゴマーのグラフト重合を行なった。線量率は最高3.310rad/secであった。オリゴマーの所要量を布に含浸させ電子線を、照射すると、オリゴマーは重合架橋化し、布に含浸させ電子線を照射すると、オリゴマーは重合架橋化し、布に固着され、みかけのグラフト重合がおこる。オリゴマーのグラフト反応は比較的容易であり、オリゴマーの利用率は80%まで達した。グラフト布の耐火性は著しく改善され、極限酸素指数(LOI)は原布の18.5から、りん含有率12%でLOI=26まで上昇した。重量増加率10%(りん含有率2.2%)の布を着火させ次いで火災から除去すると直ちに消火した。即ち自己消火性であった。グラフト布は帯電防止性が付与され、熱安定性も塩素化ポリエステル布に比して遥かにすぐれていた。グラフトにより機械的性質は劣化せず風合いもすぐれていた。
萩原 幸
原子力工業, 24(7), p.63 - 69, 1978/07
ポリマーの放射線橋かけおよび分解反応について、反応およびプロセス上の特徴を主として熱化学法との比較において解説した。また、核反応によるポリマー物性の変化とその工業利用について、高崎研究所の成果および研究の現状をまじえて述べた。高崎研究所の成果としては、橋かけ反応では電力ケーブルの電子線橋かけ、配線用難燃電線の耐熱化および難燃性向上について、一方、分解反応では廃棄ポリテトラフルオルエチレンの再利用、アタクティックポリプロピレンの有効利用法の開発について紹介した。
梶 加名子; 岡田 紀夫
繊維学会誌, 34(4), p.166 - 174, 1978/04
ポリエステル(ポリエステレンテレフタレート)繊維を難燃化する目的で放射線によって直接塩素化する方法について研究した。ポリエステルのフィラメントまたは布を約一気圧の塩素ガス中に置き、室温で線を照射すると塩素化反応が起こり、5~10%の塩素含有率を持つポリエステルを得ることができた。この際、ポリエステル繊維を適当な膨潤剤で前処理しておくと反応速度を増加させることができる。塩素ガス充てん-照射を繰返し行うことにより、塩素含有率20%以上の塩素化繊維を調整することができる。塩素化による強度的性質の低下はわずかであった。ポリエステル繊維は塩素化により耐炎性が著しく増加していることが確認された。しかしながら熱重量分析よりみた耐熱性は原繊維より劣っているので、塩素化を少量にとどめ、他の難燃剤の併用が実用上有効であると思われる。
梶 加名子; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
繊維学会誌, 33(10), p.T494 - T498, 1977/10
ポリ塩化ビニル繊維の難燃性を損なうことなく、軟化温度を向上させる目的で、Co60線を用いる、アクリル酸カルシウムのグラフト重合を行なった。 二塩化エチレン・メタノール溶液で繊維を前膨潤させた後、アクリル酸カルシウム水溶液を用いるか、又は前膨潤なしで、二塩化エチレンを加えたアクリル酸カルシウム水、メタノール溶液を用いることにより、金属塩の添加の下で、浸漬法同時照射で円滑にグラフト重合を行なうことが出来た。 アクリル酸カルシウムをポリ塩化ビニル繊維にグラフトすることにより、熱収縮温度を著しく向上することが可能であり、またグラフト重合による強度的性質の変化はほとんど認められなかった。さらに、グラフト反応により、原繊維のもつ自己消火性は損なわれず、カチオン染料に染色可能になった。
梶 加名子; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
繊維学会誌, 33(1), p.50 - 57, 1977/01
ポリ塩化ビニル繊維へ、その難燃性を損なうことなく軟化温度を高め親水性を向上する目的でアクリルアミド(AAm)の放射線グラフト重合を行なった。 繊維の膨潤剤としての二塩化エチレン、ホモポリマー生成抑制のためのFeClを加えたメタノール溶液を用いることにより、グラフト重合を円滑に起させることが出来た。グラフト重合速度は、1~10rad/secの広い線量率範囲にわたり、線量率の0.76乗に比例した。 グラフト率56%までの繊維の強伸度、ヤング率を測定したところ、その変化は僅かであった。50%グラフト率の繊維で木綿と同程度の吸湿性を示した。アクリルアミドをグラフトすることにより、高い熱収縮温度が得られたが、グラフト繊維をアルカリ加水分解した後、Caイオンで架橋することにより、その効果はさらに顕著になった。グラフト重合により難燃性が損なわれることはなかった。